国民主権と三権分立

市民公開講座にて

司会者:「本日の公開市民講座は、松風大学の満点教授においでいただいて、憲法の三権分立についてお話しいただきます。それでは、満点教授、よろしくお願いします。」

満点教授:「ご紹介にあずかりました満点です。今日は、憲法の国民主権と基本的人権を制度から支える三権分立についてお話をします。それでは、まず、三権分立のない国ではどうだったか、ということを振り返ってみようと思います。むかし、古代や中世では、国王や皇帝がすべての権力を握って、戦争をしたければ戦争をするし、戦争のために経費が必要になったからといって増税することもできました。挙動不審(きょどうふしん)の人物は、令状なしに逮捕することもできましたし、政府に反抗する人々に対しては、あとから法律を作って処罰することもできました。

 そういう社会では、国王がお山の大将だから、誰も国王のすることを監督する人はいなかったし、国王の命令には従わざるを得なかった。国民の基本的人権というものは少しも保障されていませんでした。国王が立派な人なら良い政治が行われたし、国王が暴君だったら、国民は虐(しいた)げられてきた。そのように、国王の人格によって国民の運命が左右されてはたまらないので、憲法ができて、権力者といえども憲法に従わなければならなくなりました。

 憲法では、国王が一手に握っていた法律を制定する権限(立法権)、法律を執行して国民にサービスを提供する権限(行政権)、法律を適用して事件を解決する権限(司法権)の三権に分け、立法権を国会に、行政権を内閣に、司法権を裁判所に行使させることにしました。そして、内閣の総理大臣を国会が選んで、内閣総理大臣が国会の信任を失ったときは、内閣は総辞職しなければならない、というルールを作りました。単に内閣総辞職だけだと不公平なので、内閣総理大臣は衆議院を解散できることにしました。裁判所は、行政処分が憲法もしくは法律に違反していれば、それを無効にしたり、取り消すことができますし、国会が作った法律が憲法に違反していれば、法律の無効を判断することもできます。一方では、裁判官の任命権は内閣が握っていますし、国会は裁判官として不適格な人をやめさせることができます。

 会社などでも、上司が部下の仕事をチェックしたり、経理部が営業部の経費をチェックしたりしなければ、やりたい放題のルーズな経営になってしまいますね。国政でも同じことで、ある部門の行為を他の部門で監視して、間違っている行為を正さなければ、憲法は守られないし、国民の基本的人権も保障されません。三権分立というのは、それぞれの機関が憲法上の権限を踏み越えて暴走しないように、互いにチェックしあう機能なんです。」

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